色褪せない蜃気楼を両手で庇っていた
あの砂の城だけが、確かに僕のすべてだった
でも、水たまりに落ちた羅針盤は
どうやらこの街の歩幅とは合わなかったみたいで
真綿でくるむような優しい声たちに
降るはずのない雪をそっと被せられて
僕は綺麗なまま、一度だけ深い眠りについたんだ
なのに、壊れたはずのオルゴールが
胸の奥でカタカタと鳴り止まなくて
Ah, 喉の奥に隠した硝子の破片
密かに撫でるたび、熱い痛みが赤く滲む
少しでも手のひらに乗せてしまえば
またあの「温かい毛布」に奪われてしまうから
鋭すぎるこの枯れ葉のやり場はわからない
いっそ交差点の風に散らしてしまってもいいけれど
今はまだ、ポケットの底で握りしめておくよ
いつかこの欠片が、本当の朝日に反射する日を祈って